étape 8 - 9:ブルターニュ快走〜Loudéac

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Brestブレスト618km
Carhex-Plouguerカレ・プルゲ703km
Saint-Nicolas-du-Pelem サン・ニコラ・デュ・ペルム736km
Loudéacルデアック782km


▽川の街

ブレストのPCを出てすぐはクルマの通りが多く何度か交差点も曲がってやや面倒なところ、矢印の案内板があるから迷うことないしここは落ち着いて街並をながめながらゆっくりと進む。
その賑やかなところを出るまではレイさんと一緒だったが少し長い下りでお先に失礼。

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今日は早朝にルデアックを出てブレストを折り返したら再びルデアックに戻って仮眠の予定で、距離は330kmほどだ。超長距離の場合ゴールを目標にするのではなく、次のPCとか休憩ポイントとかの短い区間を考えて進む方がメンタル的には楽だと思っている。今日の予定走行も半分は過ぎた、あと150kmくらい。つまり今日は今日一日で終わる、変な表現だけど。


ブレストを離れると往路とは異なるルートを通るので再び海を見ることはない。
代わりに目の前に現れたのは川沿いの美しい町並み、ブレストから20kmのLanderuneau(ランデルノー)の町。

1108231419c7ランデルノー、14:19

1108231419c7ランデルノー

白基調の壁に同じような形の窓が整然と並んだ建物、少しずつ違っていてなおかつ調和しているのが素晴らしい。同じ言葉が何度も浮かんでくるけど本当に『絵のような風景』だ。
川向こうだけでなく通っている道の側にも整った建物がズラっと並んでいた。ついペダルを緩めてのんびり進んでしまう。

▽Sizun、再び

往路と同じルートに戻ってきたら、シジュンの街に再びやってきた。
今度は行きがけに見つけてはいたけど入らなかったブーランジェリーに行ってみる。

1108231419c715:34

時間が遅いせいか空の棚が目立ったが...

1108231419c7店内の棚

アップルパイを食べた。サクサクとして甘酸っぱい味が疲れを忘れさせてくれる。

1108231419c7アップルパイ

すぐ横には高い教会の塔、外壁修理中らしい。

1108231419c715:35

スーパーで飲み物を購入。往路でMIKADOを買った店。

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花が飾られた壁に立てかけてあるバイクは・・・タンデムなんだが・・・

1108231419c7(photo by 腹ポ)

リカンベントのタンデム、しかも背面。ドロップハンドルのある画像左が前席。
前回のPBPの写真を見ていてこんなタンデムがしかも1200km走れるのか!と、とても驚いたバイクが今ちょうど目の前にいた!

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後席のハンドルが跳ね上げられた状態になっているので、このアングルの写真だと普通のタンデムに見えてしまうかも。

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後席:ストーカ(つきまとうストーカーとは別の言葉)のマダムは余裕でパンを食べつつ乗車、その当たり前さ加減が我々ギャラリー(!)を驚かせる。

1108231419c7(photo by 水色KLEIN)

スタート直前だが両手にパンを持って手放し。う〜ん、バランス感覚もお見事。
走り出す瞬間はパイロットが足を地面から離すと同時にストーカがペダルを踏み込んで動きだし、パイロットはおもむろにペダルをキャッチして加速するという動作だ。
写真をよく見ると前後の駆動メカは接続されておらずそれぞれ前輪・後輪をドライブしている、いわば二駆でおそらく主力は前輪だろうからFFベースの二駆ということになる?!
周囲が見つめる中軽やかに走り去って行った。


壁に立てかけてあった日の丸が目を引くクロモリバイクはチューブラータイヤ4本装備。でも一度もパンクしてないから帰りに売っていこうかなんて冗談をかわしたり。折り返してきているから少し余裕が出て来たのかも。

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そろそろ出発しようか。
外にあるゴミ袋にはパリまであと563kmと札がついている。まだまだ遠い。

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その前に、角のBarでチョコバーを一つ買ったけどホントの目的は『トワレット、シルブプレ』。

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再びここで合流できた腹ポさん達とシジュンを離れ先へ進む。

▽晴天のロード

下りは霧で見えなかったロックトレヴェゼルへ登って行く。今度はのどかな景色を眺めつつ淡々と緩い坂を登って行く。

峠を越えて長い下りで少し漕いでやると65km/h、どんなもんだいと悦にいってたら左からスパーンと抜かされた!

タンデムがゴリゴリ漕ぎながら走り去って行く。速度差は10km/h以上あったはずだ。タンデムはその重量とスピードから、ともするとリムブレーキの発熱でタイヤやチューブなどにダメージを与えるというが、ああ確かにあのスピードならそうだなと変なところで納得した。

天気はさらに良くなり気持ちよいサイクリング。膝の違和感さえなければもっといけるのになぁ、とセーブしながらペダルを漕ぐ。眠気はないけどそれは相変わらず気になっている。

1108231419c716:47(photo by 水色KLEIN)

路面に自分達の影が映っている。ブルターニュは雨が名物と聞いていただけにこの晴天はありがたい。
しばらくほぼ平坦な道が続いて見えるのでここで走行画像撮影をすることにし、一旦先行してハンドルに装備してあるカメラをヘルメットに後ろ向きに装着し、後続の3人が追いつくのを待って撮影。

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PBP走行中の皆の画像を前から撮れたのは結局ここだけ、でもいい映像が撮れた。

その後緩く長い下り坂が続く。はるか遠くまで見通しがきく気持ちよさといったら!

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左からべりさんが追い抜いていく。ブラケットから肘までの腕のラインが水平になる深いクラウチングフォームで足を止めて休ませつつ速度を稼いでいく。油断してたらすぐ100mほど離れてしまったのでこっちは足を使って追いかける。下りの時は膝は痛まないんだ、都合良くも。

町に入ると教会の尖塔が迎えてくれる。だんだんと近づいてくる高い塔の光景は何度見ても飽きない、楽しい。

1108231419c717:42

町を抜けるとまた一気に視界が広がり、緩い長い下りの先に登る道が地平線の向こうで切れている。はるかかなたに見えるところでも、意外と早くそこに到達できることも既にわかっている。

1108231419c717:43

そこまで到達したら、振り返ってみると今度は後ろに長い道が水平線まで続いている。今走ったばかりの道がもうこんなにあるんだなと、ごく当たり前のことがなにか嬉しい。

荒い、と聞いていたフランスの道は街中にあるちょっとした石畳以外はむしろきれいで走りやすい。日本の道路の方があちこち道路工事で部分的に補修したアスファルトの凸凹が多くて走りにくいと思う。
道端にゴミも少ないが、所々で枯れた芝生の様な薄茶色のものが見かけられた。どうやらそれはクルマに轢かれたハリネズミの死骸らしい。そういえば夕暮れに道を横切るヤツを一度見たな。
鹿注意の道路標識もあちこちで見たが、幸い鹿に遭うことはなかった。

次の町に入って来た。
『Allez! Allez! Allez!』子供達が笑顔で迎えてくれる。彼らにとって自分達はヒーローなのだろうか。
大人になったらPBPを走りたいと思うだろうか。

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地元フランス人選手の中にはきっと子供の頃にこうやって沿道で応援していた経験を持つ人がいるのだろう。それはとても羨ましい。
歴史は長いPBP、日本が組織として参加し始めたのは8年前からで今回が3回目。それ以前は欧米人ばかりが走っていたはずだ。今回日本は150名を越え台湾からの参加者も目立ち、オーストラリアは言うに及ばず南米からも参加があり国際色は回を追う毎に豊かになっている。4年に一度のこの時だけ集まってくる様々な姿の外国人ライダーが走り抜けるのを見るのは非常に楽しくまた心にも深く残るだろう。そんな異国の人の一人として彼らの瞳に映っていたのだろうなと、想像を膨らませつつハイタッチを交わして走り去っていった。

▽étape 8:Carhaix-Plouguer

大きな街、店が多く立ち並びクルマの通りも多いこの街は次のPC、カレ=プレゲ。

1108231812c918:12

今日2回目のカレのコントロール、チェックも2回目だからすんなりと済ませる。

仮眠をしている人はあちこちで見かけるようになっていて、通路だろうが壁際であろうが寝転がっているのだけどもなかにはこんな妙なポーズの人も。足にたまっている血を下げたいのだろう、シューズも脱いでいる。

1108231826c8mn18:26(photo by 水色KLEIN)

ここで夕食。相変わらず茹で過ぎマカロニ(コキエット)、ソースは牛を煮込んだものみたいだがなんとなく微妙な味、塩味が足りない感じだ。醤油でも持ち歩いていた方が良かったかも。
フルーツにヨーグルトも食べてみるのはそんな飽きて来た味わいを紛らわそうと無意識に選んだのかもしれない。小さいサラダみたいなものはあるがとにかく野菜が足りない。

1108231839c718:39

レストランから出たところ、ちょっと目立たないこんなバイクもある。ロゴなしフレームはいわゆるノーブランド中華カーボンか。中華カーボンでブルベ走れるんだ、既にここで700kmこなしてるんだからな。

1108231901c719:01

外ではバグパイプの演奏が賑やかだった。異国情緒?そういえばスタートにもバグパイプ団がいたけど同じかな??

1108231909c719:09

PCを後にしてルートに戻る。(18:20-19:17)

1108231918mn(photo by 水色KLEIN)

どこのPCの近くもそうだったが、このような大型キャンピングカーが多数停まっている。地元フランス(あるいは自走で来られる近隣国)のサポートカーだ。事前に申請・登録しておけばこのような個人的なサポートを用意しておくことができる。形式上はAJがサービスしているドロップバッグもこのサポートの一部という格好で登録してある。

さあ、あとは今日の到達地点のルデアックを目指そう。

▽étape 9:Loudéac 寝床へ還ってくる

カレを出てまもなくロードペイントがあった。パリまであと500km。

1108231938c819:38

そしてフランスでおそらく2台しか走っていないBOMAのうちのもう一台、MuAuanさんのREFALにも出会った。コース上で会うのは4月の名古屋600以来だ。とりあえずお先に。

1108231948c819:48

途中補給ポイントのサン・ニコラ・デュ・ペレムがあるが今度は寄らず通過した。通過できるだけの余裕があったということだ。(20:42)

そろそろ日が暮れる。夕暮れの石造りの建物にどことなく寂しさを感じる。

1108232058c820:58

間もなく日が暮れて再びナイトラン。今日はほとんど眠気に襲われることなくここまでやって来れた。

町への登りが少し長いなということはあそこか、私設エイドがあった町Merléac(メルレアック)だ。行きに続いて帰りも立ち寄る。
パン・オ・ショコラとショコラ(ココア)を。今度は椅子に腰掛けてややくつろぎ加減で一休み。

1108232206c822:06

手を振ってくれたマダム、行きでも会った人だ。もしかして憶えていてくれてたのかな? 1108232205c8私設エイドのマダム

ここに寄るのも本日中に二度目となるわけだがなんだかもっと日が開いていた様に勘違いしていた。さすがに疲労がたまっていたのかも。
水は無料で大きなバケツにひしゃくがあり、それで掬ってボトルに水を満たして出発。

ここまで来たらルデアックまではあと少し、もうすぐ。

▽Loudéac

そして23時過ぎにルデアックに到着。これで今日の”仕事”は済んだ〜

1108232311c9入口、23:11

1108232322c8向こうにレストラン

多くの人でごった返していて自転車停める場所もなかなかないので結局ドロップバッグ置場前まで押して来て寝かせておく。

1108232358loudeac

1108232313c8ドロップバッグ置場前、23:13

日本人ドロップバッグ置場には小さな掲示板も用意してある。まっきさんが何か書いてるな。

1108232323c823:23

ここでは食事は取らず、飲み物やパンなどを少し買うだけにしてすぐ出発。

1108232326c823:26

コントロールを離れ早朝出発したホテルに戻った。今日はもう隣のマクドナルドは閉まっている。
自転車を担いで階段を上がって部屋の中に入れて、シャワーを浴びて着替えてベッドに潜ったのは日付変わって午前1時頃だっただろうか。

これでおおよそ2/3を走り終えた。
ここで仮眠の時間をしっかり取るから、次のコントロールのタンテニアックのクローズタイムに間に合えさせすれば完走は大丈夫。
いろいろあったがここまで時間的には、大丈夫。

(つづく)