あいたたたたたた・・・
『足攣ったー』
というゆば〜ばさんの声が響いた。
やはり昨日のサイクリングは少なからず負担があったみたい。
先日整体師に教わった方法で太腿を土踏まずで踏む様にマッサージしてみる。『あいたたたた』とまた悲鳴が出るが痙攣は収まって落ち着いたみたい。
時刻は朝5時を過ぎたところ。さあもう一眠りしましょうか。
7時になり起き出すがやはりあまり眠れていないで睡眠不足。
食欲もそれほどなく、昨日より少ない量しか朝食も欲しくない。どうする?内心焦りが広がる。前日の休息がとても重要なのは百も承知なのにそれに失敗して本番を迎える事になろうとは。
黒いナイロン製のAJ専用バッグを背負って昨日確認しておいたプルマンホテルまで行き、係の人に受付をしてもらい番号シールを自分のバッグに貼付ける。 受付
預け終わったら外にあったフロアポンプでタイヤに空気を入れておこう。少し多めに7.5気圧で。
プルマンホテル前
腹ポさん達はマルシェに向かったがこちらは元気がないし寝不足もあるのでそのままホテルに戻る。
戻ったらバイクケースを荷物保管用の部屋に移動させなければならない。"自転車部屋"は出走中は使えないので別に荷物専用として予約してある部屋に手荷物と共に動かしておくのだ。しかしまだ誰も動かしていない様でみんなの箱がそのまま置いてあるので移動はあとにすることにして、自転車だけそこに置いて部屋に戻った。
当初チェックアウトは10時だったがホテル側の計らいで12時までOKとなった。これで一休みできる、とベッドの上に転がる。
・・・1時間半くらいすっかり寝込んでいた。ああこれで少しは楽になった、体も気持ちも。
『コンビニ』で飲み物とパンを買って少し食べる。ジャージ・レーパンに着替えて”正装”するが、だるさゆえに心拍センサベルトをつけるのも嫌になり結局それは無しで走ることになった。
スタート時のウエアは
タイツを履く前に両膝にX字にテーピングをしておく。
防寒装備はアームウォーマにSEALSKINZ靴下くらい、あとはmont-bellのウィンドブレーカでしのげるだろう。(フロントバッグに入れて持って行くはずのそのウィンドブレーカを実は入れ忘れたことに気づくのはずっと後)
サドルバッグにはmont-bell GORE-TEXレインウエアと冬用CRAFT半袖ExtremeProZEROを入れておいた。
準備が済んだ後で自転車箱を保管用部屋に移動させて荷物もそこに置いて、一旦チェックアウト。
フレームやフロントバッグにゼッケンプレートを取付けたりして、まだ自転車部屋には自転車と共にいられるのでホテルを出るまで数人と一緒に少し横になって休む事にする。夕方スタートなのでそれまでに少しでも休養を取りたい。
スタートを早くしたかったゆば〜ばさんは先に出発した。向こうでinainaさん達と待ち合わせているそうだ。
こちらは少しでの休みたいのでゆっくりする。わずかでも眠りたかったところだが・・・横になって体を休められていた程度。
そうやって休憩している人もやがてだんだん起き出してきた。
昨日聞いたトラブルのこともあり、期待に胸が膨らむ一方で気を引き締めることを忘れてはならない。
前回PBP2007参加のK瀬さんの言葉。
『皆さん完走するつもりでしょうが、これまでの数字からこの中の3割の方はリタイアすることになるのです。』
『(いろいろなことがあり得ますから)命がけで走って下さい。』
K瀬さんとは最初の雨の2008名古屋600のPC1で出会ったことを思い出しながら、その言葉をブルベカードをぶら下げている自分の胸の中にしまっておいた。
待っていると外を馬が数頭歩いていった。さすがフランス?
さて巻き寿司の方はというと、始めにミニサラダとなんとなく中華っぽいスープが出てきてちょっと不安もよぎるが・・・
具の量が多い巻き寿司。魚はサーモンとツナ、かにかまにきゅうりに玉子焼き。サラダ巻き感覚だけどすし飯がちゃんとしていたので全員満足、昨夜からろくに食べてなかったけどなんとかこれは全部食べられたのでその点でも一安心だ。
なんとかスタートできそうな感じに戻ってきた。ある意味運が良かったと言っていいかもしれない。
会場到着、16:13
私達は90時間組のグループスタート、スタート時刻は18時から20時の間で20分ごとに400〜500名ずつ区切って出される様だ。その時間内で早い内からスタートしたいゆば〜ばさん達はこちらがまだ自転車部屋で休んでいるうちに2時間以上早くここへ到着して待っていたはずだ。
並び中、16:27
列に並ぶと他の日本人とも一緒になる。写真は笑顔のべりさんとeiryさん。一昨年東北1000km以来の再会をこの地で果たすとは。
その向こうでは日本応援チーム。
日の丸、16:43
寄せ書きでいろいろ書いてある日の丸を振っている。『オルテガ』って何?誰?
それにしても陽射しが暑い。木陰に入ればマシになるのだが日なただとかなり消耗する。
水飲んでる腹ポさん、16:30
並んでいる間に補給することが実は重要だった。並んでいる時用の飲み物を一本用意しておくくらいでなければ、知らぬ間に失われていく水分をフォローできない。
まだまだ並ぶ、17:18
列の先はまだまだ長くスタートゲートも見えないで牛歩の歩み。
お隣の緑のクロモリはフロントトリプルギア、ボトルにはミルクセーキみたいな色だけどスペシャルドリンクかな。
後ろの黒いのはシングルギア、う〜むシングルかぁ。
ブレーキレバーが、ない!と思ったらハンドルのトップに普通は補助ブレーキレバーで使うものがついていた。
補給食フレーム積載、ゼッケンプレートの様にカロリーメイト3箱くっつけている。フレーム大きいなぁ。オルトリーブサドルバッグの下の異様なまでの空間!これでは泥よけ効果激減だろう。
柵の向こうには90時間の組なのにヤル気マンマンのピナレロDOGMA with ZIPP808、その隣もSRAMのディープリムだ。
いろいろと目につく自転車ばかりなわけだが、そのうち妙な事に気づく。
こちらも後ろには共にSRを獲得した歴戦の勇士ととろを連れているわけだが、どうやら世界中に同類がいるらしい(笑)。
緑色のカンガルーはなんとチームで揃えていたりもする!
いったい何を考えているんだ皆!
特にフロントにマスコットをつけている君たち、ぬいぐるみよりもキューシートかGPSをつけなさい。
もちろんここで挙げた人だけでなくこの後もいくつかぬいぐるみを見たのでおいおい紹介していくことにしよう。
スタンプを押す場所の前、18:41
ぞろぞろと列が動き、ブルベカードにスタートの場所ここSQYのスタンプを押してもらって続々と人が流れて行く。
あと少しというところ直前で切られた。あ、ちょうど腹ポさんで切れてしまった。
まあしかたがない。差がついても20分差だから最初のPCまでには追いつけるだろうと、水色KLEINさんと話ながら。
スタンプ待ち、18:51
ブルベカードを手にしたまましばらく待つ。
そうしてやっとスタンプを貰ってゲート前に移動し、ゲート手前で再び一旦停められる。
前にいるのは先に区切られたグループだ。あの後ろにいるかなぁ。
先行グループを前に、19:04
前にいる二人は同じLOOKに乗っているのだがカラーも同じ、もちろんジャージも同じだ。
フレームカラーまで揃えているのはそうそういないだろう。スタートまでこの"LOOKブラザーズ"の後ろについていく。
後ろを見るとズラーッと並んでいる。日本の人もいるな、埼玉ベスト着てるとわかりやすい。
ゲートの向こうではずっとアナウンサーが喋りまくっている。もう喉が枯れてガラ声になっていてもおかまいなしに盛り上げている。フランス語なので何を云っているのかわからないが、ツール・ド・フランス表彰式前のアナウンスみたいに聞こえてきてじわじわと気分が高揚していくようだ。
スタッフがスタートライン前のロープを外しにかかる。”ロープ外すけど合図があるまで出ちゃだめよ”みたいな事を云っているのだろう。
スタート前、19:21
前には先導のオートバイが止まっている。まだ走る準備をしてないからもう少し待て。
落ち着け。
会場についてから既に3時間以上過ぎていた。