ホテルの朝食、バイキング。これも楽しみの一つ。さてどんなメニューかな?
ベーコン(またはソーセージ)、スクランブルエッグ、きのこのバター炒め、がホットな惣菜。
パンは細めのバゲットにライ麦系パン、これは自分で好きなだけカットする。格子状になっているパン切り台の上で切ればパンくずは下に落ちるので後から切る人が邪魔にならなくてよい。
左の棚にクロワッサンにパンオショコラ、パンオレザン。食パンも別コーナーにあってポップアップトースターもある。クレープもあった。ジャムやバターももちろんある。
パウンドケーキが2種類。カップケーキも。
数種類のハムとチーズ。
フルーツ色々とヨーグルトも各種。シリアル系も幾つかあり。
オレンジジュースにマンゴージュース、白いボトルの牛乳は基本低温殺菌しかないので実はかなり美味しい。
コーヒーは小さめのポットに入っていてそれごと席へ持って行って好きなだけ。
どれもおいしい。けど色合いが何か地味・・・それは、
野菜がない!
サラダとか温野菜とか緑黄色野菜がない。これはどうもフランス流らしいことが後々わかってくる。昨日食べたサラダは貴重だったのだ。
ともあれしっかり食べて満腹満足。
部屋に戻って着替えてお出かけ準備して外に出る。
同泊している他の国の人も出かける準備中、では私達もこれから市内観光へというところだがその前に明日ドロップバッグを預けるホテルの場所を確認しておこうとそちらへ向かう。
(photo by 水色KLEIN)
そのドロップバッグというのはオダックスジャパンが企画したツアーのサービスの中の一つで、PBPコース上のほぼ1/3,2/3の距離にあたるLoudéac(ルデアック)に手荷物を送っておいてくれるサービス。その荷物を預ける様指定された場所の内の一つ:ヴェルサイユ宮殿前プルマンホテルへスタート当日(つまり明日)朝に預けにいくという段取りになっており、明日になって慌てない様にと今日場所を確認しておくのが目的。
ヴェルサイユ宮殿前を通過、赤い円弧のモダンなゲートが目立つ。ここはこれ以降何度も通ることになる道。
入口が工事中の覆いで囲まれていたので見つけにくく、少々迷いつつも無事到着し場所を確認できた。
(photo by micron)
大きなショッピングモール内にそれはあるけどどこにそれがあるのかよくわからない。
二手に分かれて外を回ってみることにしたけど一周回ってもよくわからず更にうろうろして無駄足をしてしまった。
結局地下にあった中の店ではすぐに対応できず、たまたまいた外国のPBP参加者にスタート地点へ行ってメカニックに頼むのがいいとアドバイスを受けてそちらへ向かったということだ。(その後修理はできて翌日無事スタートはできたらしい)。
一段落したのでこれから改めてパリ市内へ向かう。
ルートを予めプラニングしてくれていたゆば〜ばさんの案内で幹線道路を避けて郊外の森の中、サン=クール公園を抜ける。
(photo by 水色KLEIN)
気持ちのいい道をサイクリング。クルマがスピード出せないようにところどころにわざと道にコブを作ってあり、自転車でもそこを通るときはゆっくり減速して通過する。
池のある公園を抜けるとサン=クール城のとても粗い石畳があり、それを降りたら市街地。
道案内のゆば〜ばさん、気を抜くとすぐに左側通行になってしまうのを後ろから注意しながら走る。特に左折した後にそのまま左側へ寄ってしまいがちだった。
『左ちゃう、右、右!』
と何度か声をかけていた。そのおかげでメンバーには右側通行が浸透し反面教師で良かったかもしれない。
大きなロータリーはウロウロキョロキョロしながら通り抜け、やがて店が立ち並ぶ街並を走るとパリに来たな〜と実感。
建物の間から空に浮かぶ気球発見、これは何だったんだろ。
ところでこっちに来て放置自転車というのを全く見かけない。自転車の国であるから放りっぱなしというようなお粗末なことはしないのかといえばそうでもなく、実情はこんなこと。
放置されているとすぐ盗まれる。
ロックしていたとしてもこの自転車みたいに両ホイールにシートポスト&サドルと盗れるものだけでも盗っていく。そこに置きっぱなしのアナタが悪いのよと、そんな風潮なのだろう。だから今日は自転車から降りずに見て回る観光だ。実際市内ではロードバイクはほとんど見かけなかった。
橋を渡る、ということはこれはセーヌ川。
左手に目指すエッフェル塔が見えた!停まって皆写真を写す。ここはミラボー橋。
向こうの中州に見えるのは自由の女神。
街路樹に見え隠れしながらだんだん大きくなっていくエッフェル塔に向かって走る。
間もなく到着、真下から見るエッフェル塔は優美な迫力を見せつける。ただ骨組みがあるだけでなくそれらに装飾的な造形が施されているのが実に素晴らしい。
登ってはみたいものの自転車のこともあるしでそれは諦め、やたら人の多いエッフェル塔の周りから橋を渡って反対側の岸に渡る。ここからもエッフェル塔はよく見える。
川辺には観光船が一杯停泊していた。クラシックなのから最新のものまでいろいろ。
(photo by 腹ポ)
天気が良いだけにかなり暑くなってきて、ボトルを持って来てないメンバーは水分補給をしなければもうもたない。途中のおしゃれなドラッグストア?で飲み物を調達、ワインだけでなくおいしそうなケーキなども並んでいたそうだ。
そこからほどなく凱旋門に到着。歩道を歩いて目の前に凱旋門広場。
凱旋門を取り巻くぐるっと回る道路が最も有名なロータリーだけど、自転車は通行できないと聞いていたので外から眺めるだけにした。あれ?でもAJ埼玉ジャージが走っているぞ?後で聞いたら結構みんな凱旋門の周りをぐるぐる回ってきたらしい。それは惜しい事をした。
チョコかキャンディの包みを模した楽しいモニュメントを左手に見ながら石畳の緩い下り坂を走る。これがあのシャン=ゼリゼ通り。交通量が多いだけあって均されているのが石畳はそれほどひどくなく普通に走れるが、ロードレースをするとなるとう〜んと唸るくらいの振動はくる。
余談だが最初の『オー!!シャン=ゼリゼ!』というのは実は間違い。『オー』というのは感嘆詞の『Oh!』ではなくて冠詞+前置詞の『Aux』、『Aux Champs-Elysées』は『シャンゼリゼにて』という意味になるそうな。
それはともかく、ここシャン=ゼリゼ通りは有名ブランドが軒を並べていることよりもツール・ド・フランス最終ステージのコースとしての方が我々には重要。2009年当時スキルシマノのフミが先頭で逃げていた、あの場所だ。そこを今自分が走っているなんて、自分のバイクで同じ石畳を走っているなんて、あのTV中継を見ていた時は思いもしなかったのに!
正面にオベリスクが見えてきたらそこはコンコルド広場。ロータリーをクルッと回り、振り返るとオベリスクとエッフェル塔のツーショット。
お次ぎはここ、ガラスのピラミッドがあるルーブル美術館。
中を見る時間はないのが残念だけど外観だけで既に美術館。
ピラミッドの反対側はチュイルリー庭園、チュイルリーというとムソルグスキーの『展覧会の絵』を思い出す。
向こうに見えるはカルーゼル凱旋門。
素通りするには余りにも惜しいルーブルを後にして、セーヌ川沿いを走る。左手にりっぱな建物が見えてきた、パリ市庁舎:Hôtel de Ville。
そしてここも多くの人でごったがえすノートルダム大聖堂、でっかい。
入口から中の様子を少し伺うと奥に鮮やかなステンドグラス。
壁面は細かい彫刻で飾られている。いや、細かく見えるだけでかなりの大きさのはず。
横の道に市内観光バスが走ってきた。2階はオープンスペースで観光には最適で皆カメラを大聖堂に向けている。ただ今日は陽射しが強いので相当暑そう。
これで主な目的地は見て済んだのでそろそろお昼をどこかでと走りだす。
パリ市内はこのように自転車レーンはバスと共用になっていることが多かった。タクシーもこのレーンを走る。クルマは自転車をしっかりよけてくれるので危ういと思う場面はなかったし、クラクションを鳴らされることもなかった。
そういえばレンタサイクルのベリブに乗ったおねいさんに出会ったがなかなかいいペースで走っていて、こちらが信号で停車していると追いついてきて追い越していく。こっちがまた抜くと次の信号でまた抜かれる。日本のママチャリに乗る女性でこんなスピードで走る人には出会った事はないな、さすがフランスと変に感心する一同。
セーヌ川沿いを走っていたら左手にギリシャ建築風の建物が見えてきた。現在は国民議会の議事堂となっているブルボン宮殿らしい。
そのすぐ近くにりっぱな橋がある。アレクサンドル3世橋というパリで最も美しいとされる橋らしい。黄金の像に飾られた建造物が不意に現れる、これが華の都パリということか。
橋の反対側には公園の向こうに小さくナポレオンの棺があるアンヴァリッドが見えていて、大勢の観光客が歩いてきていた。
そろそろ疲れてもきたなというところでちょうど目に入ったオープンカフェ、あそこなら自転車も目の届くところへ置けるので安心だろうとそこにする。LES ONDES(波)というお店。
メニューを見てお値段のお手軽そうな、といっても10ユーロはしたと思うが、サンドイッチとコーラにした。チーズがかかっていてハムがはさんであるだけのものだが...
食パン2枚分ほどある大きなサンドイッチ、ということは食パン4枚分ほどあるし、レタスも山盛り。これはクロック・ムッシュというパリ定番のホットサンドらしい。その上に目玉焼きが乗ったのがクロック・マダムでべりさんは当然そちらをオーダー。
がっつり食べてお腹満腹。時計を見るともう午後3時が近い。ここからパリブレスト発祥の店デュランに行く時間はもうなさそうなので戻る事にする。車検は午後5時過ぎからの予定になっているから。
市街地から再び石畳のサン=クール城を今度は登り、森の中を抜けてホテルへ戻った。
駆け足で巡っただけだったが、とても充実した心に残るサイクリングになった。
観光ルートはこちら。
(GPSlog by 水色KLEIN)
またこのオダ近ツアーの人ではないが、クルマと接触事故があり怪我をしてDNSとなった人もいたらしい。
月並みだが最後まで気を抜かずに臨まなくてはならない。何があるか分からない、ここは異国の地なのだ。
会場に到着して参加者が進んでいる流れに乗っていく。まず係員がいて反射ベストだけチェックしているようだ。ここは何も無くそのまま通過。
そして用紙をチェックする人がいて、それに記されているフレームNo.をシールに手書きで書いてフレームにぺたっと貼って、その次のテントの下で車検。
(photo by 水色KLEIN)
ここでなぜか反射ベストがNGになってしまった。いつものAudax埼玉謹製のADX-Vを着ていたのだが反射材が少し剥がれているのがダメだったのか?何せフランス語しか喋ってくれないのでわからない。
反射ベストは公式のものを注文してあるのでそれを示すさっきの登録用紙を提示すればそれでよいことにはなっている。が、その紙はさっき手前の係員に渡したよ?今持ってない!と、身振り手振りで説明するも要領を得ない。ちょっと困ってどうしたもんかとふと後ろに手をやるとバックポケットに何か入っている。その用紙を畳んでそこへ入れていたのを忘れていた、すっかり舞い上がってこっちが慌てていたのだ。
『ぱるどん。』
提示して反射ベストの件はこれでOK。ライトを一つずつ点灯チェック、この時も輸送時に不用意に点灯しない様に3本入っている電池の一つを逆さに入れてあったのをいちいち直して点灯確認、後尾灯がちょっとグラついているのをブラケット固定ノブを回して直したりしてやっと車検通過。ふぅ〜〜〜、やっと済んだか。
いつものブルベの車検よりずっと厳格なので気をつけるべし。
ぐるっとトラックを回る様に移動して、フェンスに自転車を立てかけて体育館へ。
受付で配られるアイテム一つ一つの説明を受ける。コントロール通過を検知する為に足に着けるセンサーマグネット、首下げポーチ、パンフレット、大事なブルベカードを順番に受取る。
屋外へ出て注文してあったオフィシャルジャージにオフィシャル反射ベスト、それにJAPANバンダナをそれぞれのブースで受け取る。JAPANブースではAJ各団体が順番に当番をしていたらしく、行ったときには近畿の時間だったようで岡田さんとレイさんがいた。
ジャージはMサイズで良かったが反射ベストはMサイズだと大きかったので替えてもらおうかと交渉したがそれはかなわず。オフィシャルロゴはないが同じ反射ベストは隣のブースで売っていたので買うという選択肢もあったが結局買わなかったが、いやお土産にでも買っておいても良かったかもと後で思った。
ちなみにフランスでは夜間に自転車乗る場合にはロードだろうが何だろうが反射ベスト着用(反射材の面積等の規則もある)が法律で義務づけられている。
周囲には参加者のバイクがたくさん置かれているのだが目立つのはやっぱりこれ。
ストリームライナーもしくはヴェロモービルと呼ばれるフルカウル三輪車。
『VELOMOBIEL.NL』とあるからニュージーランド?違いますオランダチーム。
とても同じ自転車の枠に入る乗り物とは思えん。けどカッコイイ。
幼稚園児が乗る足漕ぎ自動車、アレの進化系というのは言い過ぎか。
34.5kg通常仕様でおよそ70万円、30kgカーボンボディだと130万円以上らしい。なに、欧米のバイクメーカーフラッグシップモデルの完成車と比べたら似たような値段だ(笑)。
とにかく下りは異次元の速さだということらしい。
そろそろ日本チームの集合写真撮影タイムが近づいて来たが、駐輪した時のワイヤーロックの鍵がないというので探しているうちに時間が過ぎてしまい、その場所に行ったときにはもう済んだあとだった。残念。
(AJ記念撮影)
まだ多くの人がいたのであいさつがてら話をする。
とりあえず遅れ組は揃って記念撮影してもらってと。
(photo by 腹ポ)
さあこれで今日のミッションはおしまい。
会場から外へ出る時にもチェック、フレームに貼付けた手書きシールのフレームNo.と貰ったゼッケンNo.とが一致することを確かめている。なるほど会場で盗難ということが十分あり得るから。
皆が夕食に出ようというので一人残っていてもラチがあかないので一緒に行く。
ホテルの玄関を出ると何やら座り込んでいる面々。
これから出かけようという時にパンクして修理中らしい。『今パンクしとけば本番でしないから』と和やかな雰囲気で作業中のK野さん達を見送って歩いて昨日と同じイタリアンレストランに向かう。
昨日より遅い時間の今日はお客さんで一杯、端っこのテーブルに席を取って座り込んでも注文する気力なし。
料理は5人でピザとパスタだけしか頼まなかったので店のムッシューは不満そう。
ピザを一切れ、スパゲティを一口だけなんとか食べておく。
(前日にこの体調は非常にまずい状況だ)
22時を過ぎててくてく歩いて帰る。昨日も見たノートルダム寺院はライトアップされてまた違う表情を見せてくれている。
部屋に戻りオレンジジュースか何か飲んで、ドロップバッグの中身を再確認しておいてシャワーを浴びて、まだお腹の調子も良くないので正露丸を飲んで、ベッドに潜る頃には日付が変わっていたと思う。
疲れがひどくて心拍が落ち着かない感覚で昨日の様にスッと眠りに入れない。眠れない。
明日はいよいよスタートなのに、しかも夕方スタートだからそれまでの休養が何より重要なのは過去のブルベでよくよくわかっている。一番大事な事はスタート直前の十分な睡眠なのだ。
(これは非常にまずい状況だ)