prologue:旅立ち

▽関西国際空港へ

いよいよ出発。といっても今日持って行く荷物はいつもの買い物リュック一つだけ。それを背負って歩いて倉敷駅へ行きそこからJRに乗り岡山駅から新幹線で新神戸駅まで移動。

というのは関空へ行くのに海路を使うベイシャトルに乗ってみたかったから。

新神戸から地下鉄で三宮まで出てそこからポートライナーに乗る。
ちょうど発車ぎりぎりで間に合った!席はガラガラで空いている。

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隣の車輛は結構乗っているナ、とふと見るとここは女性専用車輛だった!どうりで・・・
あわてて移動(汗

神戸空港へ着いてベイシャトル乗り場方面へ向かうと乗り場へ向かうバスがちょうど出たところ。次の便は20分後出航時刻の5分前、間に合わないことはないんだろうけどぎりぎりの時間になるのは初めて来た者にとってはちと不安になる。
近くにいる人に尋ねたら乗り場まではすぐ、この駐車場向こうだということを聞いて安心して歩いて向かう。なんだほんの300mほどの距離だったんで大きな荷物でもなければバスに乗る必要はなかったわけだ。
乗り場に着いて切符を購入し、まだ早かったのでジュースを買ってひといき。

なんだか新神戸からここまでの移動が結構かかったな。
ベイシャトルは午後8時の便に乗る。

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前の方の席に乗ってみるけど外は雨か、窓は曇って何も見えない。
出航するとかなりの揺れで気分が悪くなる。波の上下に合わせて首を縦に振ってなんとか船酔いを抑えてみたりする。
関空に近づくにつれて波は穏やかになり、なんとか到着したがやたら疲れた。帰りはもう乗らないぞ。
輪行袋を担いだ人がいるかと思ったらそれはM脇さんだった。
バスでターミナルまで移動。

集合場所付近には既に皆集まっている。オダックス近畿メンバーに混じり水色KLEINさんにK井部長、それにK瀬さんの名古屋組他とお馴染みの面々にご挨拶。
JALエービーシーのカウンターで空港ゆうパックで送った自転車輪行箱を受取りカートに乗せて移動。同じ箱を使っているのはひこにゃんをぶら下げているべりさん。

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円をユーロに換金しようと換金窓口を見て歩くとレートが良さそうな地方銀行窓口はちょうど閉まってしまった!しかたなく空いているところで500ユーロ分を換金しておいた。多いか?

岡田さんの声がかかって全員集合、今回のツアーのブリーフィング。いつものブルベみたいな光景。

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わざわざお見送りに来てくれたM田さんにO川さん、それにご家族の方々。ありがとう、はりきって行ってきます!

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ゲートをくぐって、

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シャトルに乗って移動。

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この機体に乗ります。B777-300ER

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搭乗、席を確認して荷物を上に上げてと。

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各座席についている液晶モニタは『ICE』。Information・Communication・Entertaiment 110818kanku9

いざ、フランスへ。
20時間はかかるけど。

▽ドバイまで

飛行機は無事関空を飛び立ち、一路ドバイを目指す。
上昇飛行が安定しシートベルト解除可能になると早速最初の食事タイム。日本時間では午前1時くらい。

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和食の焼き魚メニュー[焼いたヒメダイに、温かいごはん、ブロッコリー、シメジ、揚げナス、ニンジン、大根おろしを添えて]を選択、結構おいしい。M脇氏によるとPBPのPC飯より機内食の方がだいぶおいしいとのこと。

このあとオレンジジュースとコーヒーを貰って満腹。
となると、トイレ。
広くないけどこじんまりまとまって綺麗なトイレだった。

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この後の長い時間、睡眠も取らねば。冷房はきつめなのでブランケッドをかけてウトウト。
幾らかは寝て、起きたらiceで音楽聞いたり航路を眺めたり。ドバイまだか〜
かなり退屈と戦う。通路側だったのでトイレにも何度も行ったっけ。

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この画面ではテロップで飛行速度に高度、航行距離に到着予定時間などが表示される。

そしてお待ちかね次の食事、朝食(洋風)だって。和食は売り切れで選択の余地なし。

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[スクランブルエッグ:みじん切りチャイブとパルメザンチーズをかけ、ブレックファーストポテトと野菜ソテーを添えて]

アップルジュースとコーヒー貰って満腹。

そうそう、機内天井には星空を模したこんな照明があった。

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食事が終わるとそろそろ着陸。真っ暗な中に煌煌としたドバイ空港の明かりが見えた。
やれやれやっと解放される〜。

降りる。へぇ、珍しくタラップを降りる。真横にあるエンジンを撮影(後で調べたら最大級のジェットエンジンらしい)。

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▽ドバイにて

ドバイのセキュリティチェックは今回の中で一番厳しかった。
特に乾電池をたくさん持っていた人はかなり没収されたとか。さわい氏はeneloopを全部持って行かれたけどキャンドゥのアルカリは取られなかったとプンプン。M脇氏はパナの単三パックをぱっくり割られて多い方を没収され残りは返却と、基準のわからない状況だった。
(預け荷物=自転車梱包の中に入れておけば大丈夫だった) さてドバイでの待ち合わせは3時間半ほどある。

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ヒマ潰しにぶらぶらと免税店を見て歩く。かなり広くて店もたくさん、通路中央にあるアラビアンな土産物屋でアラジンの魔法のランプもたくさん売ってた。

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食料品店ではキットカットが山の様に売ってたり、日本のものでは大塚製薬のポカリスエットにオロナミンCがあったのに驚き。
通路にはごろんと仮眠している人多数。既にブルベチックな雰囲気が漂っている。

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いささか歩き疲れたのでちょいと良さげなオープンカフェでデザートでも食べてみる。

110819dubaipaul(photo by 腹ポ)

ドバイ通貨は持ってないのでカード決済で。このタルトとジュースのセットでおよそ800円ナリ。

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ジュースもタルトもかなりおいしかったので値段相応ということにしておこう。

そろそろみんなゲート前に集まってくる頃だ。夜が明けてきて雨が降っている。

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次に乗るのはコレ。

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お待ちかねのエアバスA380-800。ずんぐりむっくりでず太い胴体なのでむしろ小さく見えてしまう。

▽パリへ

搭乗途中に主翼エンジンを。今度は4発。

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機内は明るい雰囲気。思った程広くはないが、さっきより座席の余裕はある。でも新幹線並の余裕があればなぁ。

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ICEは一回り大きな画面でシステムも一歩二歩進んでいる。離陸直後の機体真下カメラ画像、右上の飛行機マークは地上に映っている自機の影か。

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飛び立ってみるとエンジンは4発あるけど騒音はさっきのB-777より低く振動も少なく快適度はコチラが上。大きい機体の良さが発揮されているのだろう。
安定飛行に移るとさっそく食事。朝食、なんだろうか。そろそろよくわからなくなってくるが出されたものはいただく。

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あとから聞いた他の人の話では、食事をきれいに平らげているのはここいらに固まって座っている近畿PBPブルベツアー部隊のみだったらしい。オレ達の戦いは既に始まっているのだ!?

さて話はICEに戻るが、画面が大きいだけでなくコントローラも機能豊富。サイドにはスリットが切ってあるがどうやらここにクレジットカード読込み機能があるみたいで、欲しい商品を画面で選んでバスケットに入れて、決済はコントローラのスリットにカードを通せばすぐに買い物ができるらしい。
映画や音楽の登録数もさっきよりかなり多い。ハリーポッターの何かを見たっけ。

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とはいえ万全のシステムというわけでもなさそうで、このように画面をフリーズさせてしまった人もいる。(この少し前にコマンドラインが表示されていた)

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一休みしてたらCAさん達がまたいそいそと動き始めた。

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最後の機内食。

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食事を終えたらまもなく着陸態勢に。
眼下にフランスの町並みが見えた!テレビで見る様な本物のヨーロッパの風景が下にある。
ようやくここまで来たんだなという気持ちが昂ってくる。
ほぼ予定通りにシャルルドゴール空港へ無事着陸、あ〜やっと飛行機から解放された〜。

大事な自転車はどこからかなとスーツケースの出てくるベルトコンベアに行って見るがここではないらしい。

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別のところから各々の自転車が運ばれてきた。特に不具合のあるものはなさそう。331氏のオーストリッチの普通の青い輪行袋に入れただけみたいな自転車も無事だった。皆驚いて注目していて”あまりに貧弱でヤバそうなのがありありなので却って扱いは丁寧にされるんではないだろうか”と話してみるもマネしようと思った人はいなかっただろう。
自転車梱包としてはオーストリッチのOS-500とシーコンのハードケースシリーズが多く、KOWAの輪行箱2つを含め段ボール箱は4人&ACERのプラ段箱が2人だった。

それぞれカートに自転車を載せて外まで運ぶ。外はいい天気だ。
と、通路に落ちているクロワッサンに『さすがフランスだ!』とはしゃぐ一同。

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外に出てバスの隣につけてあるトラックに積み込む。当初自転車を輸送する予定はなく、空港から自走か輪行でホテルまで行ってくれということだったが、直前になってトラックが手配されて事なきを得た。ツアー企画当初よりも円高ユーロ安が進んだせいもあるのだろうと思ったりもする。
仮に中身の自転車だけ出したとしても、そのケース類だけを旅客バスに積む事は事実上不可能だったに違いない。

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『箱ものから先に!』
てきぱきと指示しながら積み込む敏腕ポーターがいるなと思ったらM船氏だった! 110819cdg10

自転車はトラックに、手荷物と人間はバスに乗り込みホテルまで小一時間ほどドライブ。
現地案内人の方のガイドを聞きつつ空港を出発、気分は遠足である。現地時間で午後3時過ぎ。

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すぐにコンコルドが見えた。

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最前列に座ってハイウェイを走るバスの大阪ライクな追い越しを楽しみつつ、晴天のパリ郊外をホテルへ向かった。

▽散歩

バスは快適なドライブを続けて無事ホテル:NOVOTEL Chateau de Versailles(ノボテル シャトー ド ヴェルサイユ)に到着した。

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各自早速自転車を用意された大広間(会議室だろう)の通称”自転車部屋”に運び開梱。幸い誰もメカ的トラブルはなかったようだ。

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自分も輪行箱を開けてフレームの緩衝材をはがして外してあったリアディレイラーを取付け、これも外してあったサドルを取付け、ホイールをはめてハンドルバーにGPSマウントとカメラマウントを取付ける。
空気を抜いてあったタイヤに空気を入れるのに今回の為に購入したロードモーフGをフレームから外しポンピング。周りを見ると多くの人が同じロードモーフGでポンピングしている。ロードモーフG選手権の様相!
『誰かフロアポンプ持ってないんか〜』
『○×さんが買ってくれたって』
『貸して下さ〜い♪』
という会話も聞こえていてそれなら後で借りるかなと思っていたら、なんだかやりにくいとかで結局ロードモーフGに戻っている人を見てそのまま続けた。

ライト、サドルバッグ、フロントバッグも取付けてこれで一応準備完了。

自転車の輪行箱に入れてあったウエア類を持って部屋に戻り手荷物を開けて整理する。
今回ホテルは相部屋として昨年フレッシュでも同行した気心の知れたゆば〜ばさんと同室にしていただいた。但し2人部屋といってもベッド&ソファーベッドということで片方に大きなハンデがある、らしい。果たして部屋に入ると大きなダブルサイズベッドと大きなソファー、そのソファーについている説明書通りにソファーの背をよっこらしょと起こすとベッドとほぼ同じ大きさに展開し掛け布団(?)もセットしてあった。ゆば〜ばさんがささっとそっちへ陣取ってくれたので自分はありがたくベッドの方へ。

少し落ち着いてロビーを覗くと数人がホテル近くに軽く買い出しに出るというのでついていく。先頭はM船さん。

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ホテルの隣にある銀行の道路に面したATMで手際よく現金を下ろすM船氏と331氏。まぶしくて液晶画面が見辛かったとか。

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こっちにいくとスーパーがある、と別の道に歩き始めてすぐ近くに小さい雑貨店発見。ここで間に合いそうなので水やらジュースやら買い込んでひとまずホテルに戻った。以降ここは”コンビニ”と称して何度となく通うことになる。ホテル直近にこんな店があって本当に便利だった。

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”コンビニ”と呼んでもそこはフランスのお店、日曜日は休みだし平日でもお昼に休み時間がある。
ちなみにこちらでは水は安く1.5Lで1ユーロ(1.5Lで0.5ユーロの水は良くなかったらしい)、コーラなどの500mlPETボトルは1.8ユーロ、350ml缶ジュースも同じくらいと高かった。レジ横にクロワッサンとかパンオショコラとか並んでいるのでそれをくれと頼むとお兄さんが手で直にそれをつかんでレジ袋に放り込んでくれる。
ゆば〜ばさんは食べ馴れた補給食として日本からケロッグを3箱ほど持ってきていたが、コンビニにはそのケロッグが各種豊富にズラリ並んでいたのを見て驚いてがっくりしていたな。

▽夕食へ

ホテルの部屋で少し落ち着いたらそろそろ夕食に出ようと5人で歩いて出かけた。
09〜11名古屋600完走組の5人は腹ポさん&べりさん夫妻、水色KLEINさん、同室のゆば〜ばさんと私という面々。

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さっきのコンビニの前を更に進みヴェルサイユの駅の方へ向かう。どこを見ても見回しても
フランス!フランス!フランス!
不意に大きな教会が現れてはいちいち感激し、皆一様に写真を撮る。

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ブーランジェリーは幾つかあったがもう閉まっている。市場=マルシェももう店じまい。
肉とチーズがふんだんに並んでいた店に入ってほぉーっと感心しながら一度通り越して、また戻ってきたらもう閉まっていて残念。
屋外のテーブル席を出している店はたくさんあるのでその中のどこかで食べようということになり、無難そうなイタリアンの『CAPRI』という店に決めた。黒いシャツのムシューがやってきて、英語で話しかけてくれたのでなんとか通じてラッキー。
あれ?ふと見るとオダ近ツアーの別グループもやってきた。考える事はみな同じ??

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まずは無事到着を祝って乾杯!
5人なので色々頼んで分け合いにすることに。

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付出しに出てきたオリーブのバジル和え、なかなか旨い。
そしてまずはピザ、4種類のチーズのピザだったかな。このピザはアタリ。お値段は12ユーロ=1350円ほどなので大きさからしてお得な感じ。
パスタ(ペンネのアラビアータ)は、まぁまぁ。『パスタはまずい』と聞いていたけどこれはそう悪くもないがウマ〜と感心する程でもない。しかし旅を終えた後の舌からするとこの店のパスタはかなりまともだったかもしれない。
サラダはたっぷり。これも満足。タルタルステーキ、オムレツもおいしくいただいた。
バゲットが少しおまけっぽく出てきたがコイツはイマイチだな。
ポットに入って出てきた粉チーズはピザにかけるのか?いやパスタじゃないか?と賑やかに食も進む。

しかしこうやって分け合いながら食べるというのはこちらの習慣にはないらしい。周りを見るとカップルでも個々にオーダーしたものを食べている。華奢なオネエサンでもピザ一枚とワインでお食事。
なので”取り皿”ということが通じなかった。別のツアーで来ていた人から、違う店で”トリザラ”という日本語を教え込んでまで皿を出してもらったという話も後で聞いた。

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食事が終わるとデザート用のメニューを配ってくれた。もうお腹いっぱいなところだけどジェラートを2種類注文(ピスタチオと、クランベリーだったか)、これがどちらもそれぞれの風味満点で絶品級の美味しさで別腹におさまった。

満足して店を後にしてホテルに向かう。途中のBarでテレホンカードの安いのを一枚買っておいた。緊急の時は手持ちのケータイを使うと通話費用ン万円とかかるらしいがテレカで電話をかけると警察も病院も料金かからないから良い、という話を聞いたので。使う事はないだろうがなければお土産の一つでもいいし。

通りに面したどの建物も実に美しい。

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レトロな自転車につかまる人も(笑)

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パティスリー(洋菓子店)とブーランジェリー(パン屋)はこのように一緒になっているのが多い。もう閉まっているけどここは結構大きな店なので、開いている時に見てみたいものだ。

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幾何学的な造りとランダムな石の壁、フェンスの曲線。

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夕暮れの散歩をのんびり楽しみ、ホテル前まで辿り着いた。
真ん前にあるロータリーの中央部には何やら大きなモニュメントがあるけどなんだろう。

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ロータリーの周りには横断歩道がある。そこを歩いて渡ってホテルへ向かうのだが、横断歩道で待っているとやってきたクルマはほぼ確実に止まってくれる。最初は戸惑ったくらい、こちらではクルマは歩行者や自転車に優しい、敬意を表しているといってもいいくらいに思えた。

もうすぐ夜の9時。やっと日が暮れる。

部屋に戻りシャワーを浴びてベッドに潜ったらすっぽりと眠りに入ってしまった。他所ではあまりよく寝付けないのが普通なのに。心地よい旅の始まりだった。

(つづく)