【今日の走行:Rapid-R】
平均:21.5km/h,最高:58.6km/h,距離:603.4km,獲得標高:6750m(Dakota)

今年も雨。冷たい雨の中再び日本海を目指す。
本当の長距離はここから始まる。さあ行こう新たな相棒Rapid-Rよ、幾つもの峠を越えて。

110423brmprf


▽序章 - Un prologue

朝からリストを見ながら衣類の仕分けや小物の段取りをし忘れ物のないようにクルマへ積み込んで行く。
今回はドロップバッグを使用しない−昨年の名古屋600、近畿600と使用せずにきている−ので、着替えをどう積むかがポイント。フロントバッグには普段左右のポケットに百均カッパを非常用として常備してあるが今回は雨は確実なのでGORE-TEXカッパを持って行くためそれは不要、そのスペースに小物を入れて真ん中のスペースにはGORE-TEXカッパを入れることにした。スタートから着ることになるだろうから最初は空になるだろう。
後ろのサドルバッグ内には濡れてはいけない着替えを入れておく。防寒対策のCRAFTインナー、靴下、半袖ジャージ、ウィンドブレーカにいつも入っている替えタイヤ、これだけなのでスペース的にはまだ幾分余裕もある。

ジャージは、先週着た薄い起毛のcannondale長袖ジャージにするか、ウィンドブレーク素材のデマルキジャケットにするか、現地で決めることにする。下はCW-Xタイツ&デマルキビブショーツで特に防寒はなし、先週2℃でも大丈夫だったので行けるだろう、カッパを履くという手もあるし。
靴下は防水&防寒でSEALSKINZの出番。グローブは基本指切り、やはり防水・防寒用に以前水色KLEINさんからもらった園芸用「テムレス」を携行する。

結局用意が終わったのはお昼過ぎであった。

Brm42243903

前日午後2時出発、まずは近所のうどん屋「あつた屋」でぶっかけうどんを食べる。ここは金曜日は大盛りサービスだから金曜日にしか来ない。「ふるいち」系列の店だがうどんの扱いが丁寧な様でくたびれたうどんが出てくることがないのでハズレがない。おいしいうどんはこの先ありつけないだろうから、出発前にうどんというパターンは多い。

向かいのスタンドで給油して勝山へ向かいノザキでペダルをTIMEに交換する。iClicは卒業して前に使っていた旧タイプのRXシリーズ、RX SPEEDに。ママヤマに装備していたRXLと同じく白いボディのペダルだ。

久世ICから再び中国道に乗り東へ。

Brm42295906

中国道から名神へ、新しくきれいになった大津SAに寄って夕食に親子丼。黄身を乗せてあるのはうれしい。

新名神から伊勢湾岸線を通り、前回1月のの200と同じ岡崎シングルホテルへ10時過ぎに入る。
部屋は禁煙ルームではなかったので窓を開けて換気、風は寒くはない。ふと下に明るいライトを照らしながら走って来た自転車がホテルの前で止まった。ははぁ、彼もブルベ参加者だな。

Brm42225544

大浴場で汗を流して11時にベッドに潜る。テレビで天気予報をチェックしようとしたが広域の情報しか出てなかった。

朝3時50分にセットしてあったモーニングコールで起床。
昨日買ってあったパンとコーヒー牛乳を食べて身支度。窓を開けて外の空気を感じてジャージは冬用デマルキを着ることにした。日中はそれなりに気温は上がるだろうからインナーはパールX-STATICでいいだろう。靴下は予定通りSEALSKINZ。
途中コンビニに寄っておにぎりとボトルのドリンク(いろはすみかん)を買い、スタート地点へ。
バイクを下ろしているとブリーフィングが始まっていた。
新しいクリートを取付けたシューズを履き、シューズカバーを装着してフロントバッグからカッパを出して着込む。タイヤのエア圧を7.5barに充填し準備OK。

あとで気がついたが補給食のライトミールブロックとパワーバーをフロントバッグに入れておくのを忘れていた。栄養補給そのものに関しては途中のコンビニや道の駅のポイントを把握しているので不安はないが、いざという時例えば歯応えのあるパワーバーは眠気を覚ますのにも効果があるので小さな失策ではあった。

▽旅立ち - Depart

遅くなりましたと受付に向かいブルベカード記入と車検を済ませる。水色KLENさん、腹ポさん、べりさんと慌ただしく挨拶。

Brm42345012

シャワーキャップで防滴対策のべりさんとmoekoさん、二人ともブルベ1000kmを走っているツワモノの女性。moekoさんは今年はおめでたでブルベは一休み、今日は応援に来られていた。

Brm42345018

4:53、一昨年と同じく再び雨の中から走り始める。もちろん今年はスタート時間から遅れて出ることはない。
名古屋600は3度め、過去の経験があるから落ち着いた気持ちでスタートしていく。不安を少しも感じないのがかえって不思議にも思える。

▽雨の道、再び - Un chemin pluvieux encore

地元の水色KLEINさんの先導で序盤の土手道を水を切って快調に走って行く。雨は降っているけど弱い追い風だ。一昨年にスタートした時刻を迎える頃は、もう10km以上先を走っていた。そう考えると脚も軽い。

ふと見るとべりさんのハンドル前のクリップが寂しい。
「キューシートはどうしたの?」
「あーっ、忘れてきた!」
GPSにルートは登録してあるので道に迷いはしないけど初っ端から大切な忘れ物、それも笑いの種にできるくらい雨の中でもリラックスして走っていた。

トヨタの町を抜けて、住宅地のアップダウンをこなしているうちだったか、先日勝山で一緒に走ったやまぐちんさんに合流。朝挨拶できなかったからどうしているかと思っていたからラッキー。以降一緒に走ることになった。ブルベは400kmをまだ走ったことがないけどこの600kmに挑戦、同じ600kmでも名古屋は難易度高いけど大丈夫か?、しかし先月の近畿300km十津川を15時間台で完走していると聞き、走力にはなんら問題なくそれなら折り返してからの眠気・疲労対応だけだろうと得心して進む。

やがて上りが続くようになり最初の峠道、小原トンネルへ上がって行く。心拍は170まで上がって目一杯のレッドゾーン、それ以上は上がらないように少し前から離れて走る。
そのうち左膝に何となく嫌な感覚がしてきた。先週も少し感じていたのだが。。。
漕ぎ方を考えていたらアンクリングが大きくなっていることに気がついた。足首がクネクネしない様に気をつけていたら膝の違和感はなくなっていった。よし、これで大丈夫。

狛犬交差点が見えた。ずいぶん早く来れた気がする。
ハブダイナモの明るいライトを照らしてやってくる腹ポさんの影が濡れた路面に映っている。奥の沿道には桜がまだ咲いているのもわかる。(6:55)

Brm42365533

ここからすぐのサークルKで一旦休憩、先に到着して待ってくれている水色KLEINさんのところへ歩道を越えて行こうとしたらツルっと滑って落車。
濡れたグレーチングにブレーキかけながら斜めに入ってしまった。スピードはほぼないので立ちゴケに近い状態でカッパやウエアの損傷はなし。ひじの先が少しヒリヒリするくらい。
なんだか初っ端から”やってしまった”感でバツ悪し。トイレ休憩して缶コーヒー飲んで出発。(6:57-7:04)

おっと走り出すとハンドルが変。左のブラケットが曲がって内側に倒れてしまっている。しばらく下ハンを持って走り、信号で停まったところでえいやっと曲げ戻して復活。
今度はGPSが変なところにあるなと思ったらブラケットから外れてフロントバッグの上に乗っかっていた。ストラップを引っ掛けてあるので落ちはしないけど、さっき落車した時に外れたのだろう。eTrexではそんなことはなかったのにな。
信号は少なくなっていくが、スタート時に食べ損なっていた梅おにぎりを次の信号で停まった時に食べておいた。

ここからは小さな峠を繰り返すようなアップダウンが続く。このコースで最も嫌われる区間だ。但し往路の方がマシなのだが。
急な下りを降りたら赤い橋が見えた。もうすっかり覚えてしまった武並橋、その赤い色が暗い雨天の沈んだ色調の中にひときわ映える。(8:17)

Brm42381730

ここから少し川沿いに平坦路、桜がまだ残っていて雨風に花びらを散らしている。
再び脚を削るアップダウンが続き、やっと見通しの良い場所に出たらPC1のサークルKに到着。

Brm42391455

ここで三船さんと遭遇、あれ?まだこんなところに?どうやらスタートに遅刻した上ミスコースもあったらしい。
軽く補給して再びアップダウンのルートに戻る。(9:04-9:19)

▽峠を越えて - ? travers le laissez-passer de montagne et

やがて峠道、賽ノ神トンネルへの登り。GPSの高度表示をにらみながら”ここはだいたい600mだったな”と1mずつあがっていく数字を頼りに登る。 登りきってトンネルを出たら下り。ブレーキを当てている時間が長い。

Brm42312029

峠に挟まれた道の駅加子母に一旦寄るが、特に補給する必要もなさそうなのでトイレ休憩のみで先へ進むことにした。時間的にもお昼にはまだ早い、お昼に早いということは順調に走れている証拠なので安心していられる。(10:39-10:43)

次の峠は舞台峠、往路は登りしろが少ないはず。ここはおおよそ700mまで登る。
舞台峠をぐっと下ったらそこは下呂温泉。いい感じにお昼前に到着、ここで昼食にしよう。

Brm42313545

駅前のレストラン「マルコ」、お客さんは入っているけどこの雨だし空いている。
店の裏に自転車を停めてカッパを脱いで店内へ。雨の日はカッパを脱いで着るだけでも余分な時間がかかってしまう。
おしぼりの他にもありがたいことにタオルを貸してくれたので濡れた顔を拭く。雨に濡れてただけでなく巻き上がった砂もついてくる。

Brm42315443

「マルコ」だったら豚だろう、とお店のオススメも「みそカツ定食」。ハンバーグ定食はべりさん。

Brm42315452

これからのエネルギーだけでなく明日のエネルギーにもなってくれよとしっかり食べておく。
ボトルにも水をもらって、さあ出発。(11:31-12:18)

下呂からは川を遡るが振幅の小さいアップダウンを交えながら徐々に標高を上げていくのでなかなか脚に堪える。
川の向こうの山は霧がかかって霞んでいる。

徐々に上がって行く道は宮峠へ向かっている。途中の道の駅なぎさで一休み。ボトルの飲料を追加しておく。べりさんは中の売店で焼きたてパンを買っていたが、パンは高山のトランブルーを楽しみにここでは我慢しておこう。

Brm42334249

ここでスタッフK氏と遭遇、
「今年も降りましたねぇ。でもここまで追い風基調だからそこそこ進んでますよ。」
と云うと
「このあとまた風向きが変わったら...」
などと不吉なことを口にするK氏。(13:37-13:48)

宮峠は峠らしい登りの勾配の区間は短いので、標高800mのわりには楽な峠だ。
ここをクリアして長い下りを進んでいくと高山はもう近い。
跨線橋を渡って信号ストップが繰り返される。次の信号を斜め右に入って...

Brm42344220

今年も「トランブルー」に寄ってみよう。
カッパの上だけ脱いで失礼、ここでは食べずこのあとに休憩するポイントでいただくことにする。

Brm42344232

なぜいつもここに寄るのか。日本一とも評されるおいしいパン、それだけでなくこの言葉に寄るところが大きい。まさにブルベを象徴しているかのようだ。

『トラン・ブルーは、フランス語で [ブルー・トレイン]という意味。
つづりも、英語の [BLUE] ではなく [BLEU] です。
長い道のりを、目的地に向かってコツコツとひたすら走り続けてゆく、という願いを込めてつけました。』(サイトより引用)

デコポンのペストリーとアマンドショコラを買って空いているフロントバッグへ。(14:35-50)

さて、
ルートに戻って数キロでPC2到着。200km地点で10時間少々、問題なくいいペース。

Brm42352024

トイレを済ませて補給、ここではさっき買ったパンは食べない。(15:03-23)
気温はヒトケタになり、しかも雨降りで寒さはつのる一方だ。

▽難関 - Une barri?re

R41を北上、ここからしばらくはまだ下り基調で追い風なのでスイスイと進む。しばらく前を牽いていたら後ろが切れてしまい、選手交代。

しばらくしたら後ろから声がかかり、パンクしたと。

Brm42360600

べりさんのリアタイヤがパンク、小さな異物が刺さっていた。パンクはしかたないけど原因がはっきりしたら大丈夫、原因がわからないとチューブ交換してもまたパンクを繰り返すこともあるから。
腹ポさんと共同作業でテキパキと修理。
と、ここでやはり後輪に不安があるという水色KLEINさん、見るとタイヤが避けて少し盛り上がっている。どのみちこれはタイヤ交換で登りはともかく下りは無理だろうということでここで交換してしまうことにした。峠の頂上だと気温も低く作業もし辛いからそれが正解(但し帰り道に寄った小屋では快適に修理できたであろう。この時点ではそれを知らなかった)(15:48-16:07)

しばらく行くと別の人もパンク修理をしていた。二人いたので大丈夫そうだ。

R41をそのまま進み今年は”焼肉かをる”を通過してまっすぐ数河峠攻略に向かう。

Brm42363937

ここにきて雨は強くなりまた風も向きが変わって向い風になってきた、なんてこった。
じっくり我慢して淡々と登って行く。
だんだんと気温も下がっていく中、頂上が近づくと雪が残っているのが目に入った。一昨年はなかったはず、やはり今年の冬は寒いのだ。

Brm42371258

気温5℃の数河峠を登りきって(17:22)、あとは下っていけばPC3だ。
途中道の駅細入で一息いれて。
時間的にもPC3を回って海王丸見て折り返しにかかってから仮眠でも行けるはず。

しかしその目論見は外れた。

下りのスピードが全く出せない。

それは寒さであり薄暗さであり、強い雨によるブレーキの効かなさとタイヤグリップの不安。
下ハンを持ってブレーキレバーを握りしめたまま。気がつくとレバーがハンドルバーにかなり近いところまで握り寄せられてしまっている。ブレーキシューがどんどん擦り減っている、いや、溶けているのだ。
序盤に落車した不安がどこかに残っているせいもありそうで、雨であってもいつもより速度が出せないでいる。

GPSの標高表示の数字がなかなか落ちていかない。道の駅はまだか。あと数キロか?と思ったらあと13キロの表示にがっくり。 スノーシェードのある区間は一旦平坦&緩い上りも交えるのでかえって体が温まって良い。
なんとか道の駅まで降りて一休み。温かい缶コーヒーとさっきのトランブルーのでこぽんデニッシュでリフレッシュ。香り高い酸味と甘みが下りの緊張をあっという間にほどいていく。

Brm42385918

この時点でPC3は後回しで仮眠を先にというプランに変更した。(18:50-19:22)

下り基調で先へ進み、工事迂回区間にさしかかり急勾配を下ろうかという時に
「下りきついから気をつけて」
と声をかけてすれ違う人あり。もうこんなところで折返しの先頭に会うとは。たぶん三船さんだな。

民家が増えてきて町の中に入ってくるとホッとしてくる。やっと人の住む土地へ戻ってきたかと。そして気温がさっきよりも上がっているのも体感する。やはり平地は日本海側といえど温かい。

夕食にと寄るつもりだった道の駅新湊へのルートを素通りし、健宝の湯へ。さっきの道の駅で一緒にいた人もついてきた。
まずは温泉で温まる。ここは炭酸泉があって出たあとの温感が持続するのがいい。

さっぱりしたあとで座敷で皆と食事。野菜たんめんセットをチョイス、結構量が多かった。 Brm42314853

パンの画像はべりさんがトランブルーで買っていたりんごとくるみのデニッシュ。

Brm42314853

お風呂で温まったあとなのでみんなとてもリラックスして団欒のひととき。

ウエアは洗面所のドライヤーである程度乾かしてから着てそれから仮眠。リクライニングソファに寝転び、今回はアイマスクと耳栓を持ってきたので時間一杯というわけではないが睡眠はできた。
23時30分に休憩室にあと30分で閉館ですというアナウンスが流れ仮眠終了。
ゆるゆると起き出して清算を済ませる。

Brm42334223

外へ出てGPSの電池を交換し、隣のサークルKへ寄ってボトルの中身を補充してK44を元来た方へ戻り、キューシートのNo.43戸破の交差点からブルベ再開。(20:46-0:07)

後編に続く