恒例のGPSログ解析編です。

今回はベリーさんからeTrexVistaHCxを拝借いたしましてツール缶にセット、各自のボトルケージにリレーのバトンよろしく移し変えることでメンバー全員の総走行ログを取る事に成功しました。感触として普段使っているVentureCxより高感度センサー内蔵のVistaHCxの方がエラーがかなり少ない様です。レースは10時間でその前後の時間も合わせ、11時間ほどを1秒間隔で捉えてあります。総ポイント数は4万点に達してます。

▼コース概略
まずは岡山国際サーキットのレイアウトです。走行は通常と逆の反時計回りになり、メインストレートから最終コーナーを抜け、最後に第1コーナーを通って戻ります。

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標高差は29mあります。最高地点はホッブスコーナー。コース全長は3703m。

▽個人別ラップタイム
まずは個人別の周回毎ラップタイムです。ピットイン交代時のタイムロスもそれぞれに含まれていますので、その時にはそれぞれのタイムが落ちています。

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なんと5分台連発!takotakoさんは5分40秒を最速として5分40秒台をあと2回記録してます。コメッソさんは最終周回でピットインのロスが出るにもかかわらず5分台に乗せました。 ひらまつさんの7分を越えているのが2回あります...。交代ミスによるロスタイム、「たられば」の標的ですね。

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各回ごとに平均したラップタイムにしてみると疲れ具合がよくわかります。takotakoさん、疲れが溜まっていたのでしょうか...。 ベリーさん、最後は2周だけといってもここまでラップを回復させると、その前はサボっていただろーと云われてもしかたないですよ(笑)。

▽最速ラップ
それぞれにもっとも速かったラップを抜き出して、カラーチャートで出してみました。紺色が20km/h、赤が50km/hとなっています。 まずは最速の5分40秒を叩き出したtakotakoさんのラップ。

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続いて5分50秒のコメッソさん。

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5分54秒のひらまつさん。

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紅一点ベリーさんは6分24秒

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takotakoさんのラップは全体に速いのは云うまでもなく、登りの速度域が高いこととバックストレートも速い=向い風だったけどガンガン漕いでいることが特徴です。コメッソさんも登り区間が速いのはtakotakoさんと同等、下り部分で差がついています。
そのコメッソさん、ウィリアムズコーナー前でちょっとラインを変えて瞬間的にダッシュしてるようなのですが、前が詰まったので追い越したのかな?

ひらまつさんは特殊、交代直後が最速だったので前半が遅いペースです。遅くても本線に入る前のレーンはコーナー内側になり距離が短くなる(他の走者とコーナーの形が違う)ので、ロスが減っているのでしょう。体重を活かしてか?下りで稼ぐタイプでパドック裏ストレート/アトウッドカーブでは最速です。

ベリーさんは全体に遅くなっているのは致し方なしですが、パドック裏ストレートやバックストレートでは負けていません。DHバー効果が発揮されていると思われます。 これらのラップの速度をグラフにしてみるとそれぞれの特徴が浮き出てきます。

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▽アトウッドカーブ

このコースでもっともスピードの出るアトウッドカーブの解析です。 まずは0〜6時の全員の走行ログを。

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コース取りも速度もいろいろ。一番外側に一つ外れているラインを走ったのはひらまつさん。もちろんコースアウトしているわけではありませんよ。

さて、ここでクイズです。
次の二つのA、Bの走行ライン、速いのはどちらでしょうか?

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正解は、どちらも同じ。

”速い”という点ではAの区間速度平均52.8km/h,Bは46.4km/hなのでAの方が速いのです。しかしこの両方のデータのポイント数は27(26秒)で同じ、つまり所要時間は同じです。その理由は Aが381m走っているのに対しBは348m走っているだけ。30m以上の距離差があったのです。
Aはひらまつさんの最速ラップ時の通過で、速度を殺さないようにうまく回れて脱出速度を高くできた時のものです。
Bはベリーさんの初回2周目の通過です。これは全員の通過の中で最も内側を回っているものでした。ただ速度が一番出るところから奥へのRがきつくなっているので曲がりきれず減速/アウトに膨れるという走行になってしまったのが見て取れます。脱出速度が低くなっているのでその後のタイムに影響してますが、この部分だけで云えば、その後馴れて来てスムーズにコーナーをクリアした時よりも不馴れなこの時の方が(3秒ほど)速く通過しているのです。

レースでは走者が多く思う通りのラインは走れませんけど、ライン取りは速度と同じくらいタイムに響く場合があるということがわかりました。ということは、上の全員の走行ログで一本だけ外に大きく外したラインを取ったひらまつさんは、少々速くてもタイムは出てないのです(28秒)。

▽ピットインのロスタイム
ピットインのロスタイムが実際どのくらいあるのか調べてみましょう。

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メインストレートを走っているtakotakoさんのこの区間の通過タイムが51秒、takotakoさんからひらまつさんへバトンタッチしての通過タイムが78秒、27秒の差が生じました。この時静止時間は7秒ありましたのでピットインのロスタイムは 20秒+静止時間 と計算されます。チームワークで更に縮めることも可能でしょう。今後の作戦の参考にしてみてください。

▽ピットアウト

上記でアトウッドカーブのコースの取り方で距離が短くなる→速く走れるということを紹介しました。しかし毎度狙ったラインがとれるわけではありませんで遠回りせざるを得ないこともあります。

ところがここを通過する時は近回りできてお得です。ただ毎周回通るわけではないのですが...。

図に示したのはピットアウトから本コースインまでの進路です。皆さんおわかりの通り、ここは内回りするので本コースより距離は短くなるんです。
どのくらい短いかというと、30mほど。ちょっと本コースの中を通ったりしたのと比べると40m以上違います。

この区間でワタクシのベストタイムを出しますと、ピットアウトレーン38秒/本コース43秒でした。

結論を申しますと、この区間は距離が短くタイムアップしやすいところなので、頑張って全力で駆け抜けましょう。「さぁこれからコースインして飛ばすぞ」と、ここをウォームアップor加速レーンと考えて徐々にいくのは損ですよ。

なおこのピットアウトレーン途中に縁石が切れてゼブラゾーンから本コースへ入れる区間がありますが、前がつかえて身動き取れない等という状況でない限り、ピットアウトレーン内側をトレースするのが速いです。

交替の時にしか通らないところですが、その交替のロスタイムをいくらかでも挽回できるポイントと云えます。

▽ヘアピンカーブ

ヘアピンコースのライン取りで面白い例が見つかったので並べてみました。

A〜Cの3つの中で速いのはBでした。Cは途中前につっかえて減速しているところがありますが、それを加味してもBより遅いです。
Bは、コース中央よりヘアピンコーナーインを狙ってコーナーのカント(傾斜)を少し利用しながら加速してうまく抜けています。
C は、大外を回ってからやはりインを狙って思いっきり傾斜を利用した加速をしています。加速の度合いが急すぎてGPSのエラーっぽい雰囲気もありますが、速度はBより出ています。ところが大外を回っている部分で速度はガタ落ちで距離も余分に走ってしまっているので、インに切れ込んできた時には既にBの背中は離れてしまってて、このライン取りは失敗ですね。
Aはヘアピンインからアウトに膨れるラインでわざわざ坂を増やしている?

ここは速度が落ちる分渋滞しがちで思ったラインを取れないことが何度かありました。もし前後がクリアで自由に走れそうなら、コーナーのインを取ってうまく次につなげたいところです。